血

2008年11月4日。1909年11月4日に生を受けた高橋憲治の99回目の誕生日。
あたしより、67年も前に生まれた高橋憲治は、あたしが生まれた時からすでにおじいちゃんで、だからおじいちゃんになってからだいぶ経つ。
おじいちゃんは、67歳の9月24日に、新月だからこの子の名前は朗にしようと、良い月の名前をくれました。
おじいちゃん曰く、暗い道でも正しく歩くようにね、ってね。
どうもありがとう。おじいちゃん。


2008年11月3日。
おじいちゃんは、前立腺肥大で、おしっこが出なくなって、片足がものすごい腫れた。
しょうがないからちんちんから管つけて管の先に袋ぶら下げて歩行補助機使って歩いてる。
今日、朝ご飯食べに寝室から出てきてあたしの顔見るなり、「重病人になっちゃった。」とのたまった。

おじいちゃんに誕生日おめでとうと、バースデーカードをあげたら、虫眼鏡でみて、嬉しそうにこう言った。

「わしが死んだらこれは朗にやる。」

いや。あたしがあげたんですけど。笑

おじいちゃんはなんでも虫眼鏡で見る。
毎朝の血圧測定。腕に巻いた測定器の文字盤を虫眼鏡で見る。



とりあえずそれ、意味ないだろ。笑

ものすごい高い数値を出して、深呼吸して、と叔母に言われて、ヒュー！！とふざける。

パンダのようなおじいちゃんはテレビのパンダに釘付け。



朝ご飯食べてすぐ寝る高橋憲治。寝室までついて行ったら、「わしはもうすぐ死ぬ。」と言ったそばから「また来てね（はぁと）」

天晴高橋憲治。

さて、高橋憲治はただいま、ハニーと遠距離恋愛中。
というわけで、DNA高橋朗は、ママンとパパンと高橋ミチのいる病院へ。

ボケてあんまりわからないけど、パパンが買ってきた室生寺の如来とかのポストカードを眺めて、きれいなお顔だね〜と繰り返す。

手をつなぐと、自分の頬に私の手をあてる。

おばあちゃん大好き。


余談ですが。
おばあちゃんと同室のおばあちゃん。
ずーっと歌を歌ってる。
でたらめで即興の歌。すごい作詞の才能。
「すけべ〜すけべ〜すけべはだめだ〜。せがれはすけべ〜」
「ハワイ〜ハワイ〜ハワイはいいところらしい〜元気なうちに行ってみたい〜軽井沢は避暑地〜」
「先生〜先生〜どこですか〜」


ママンとパパンとご飯食べて幸せ。な週末。